「AI」の一語では何も分からない
記事に「AI」と書いてあっても、AIが何をして、人間が何を確かめたのかは分からない。見出しだけAIが付けたのか、本文の下書きを書いたのか、事実確認まで任せたのか。同じ「AI利用」でも中身はまるで違う。
読者が知りたいのは、AIを使ったかどうかより、出す前に誰が何を確かめたかだ。確かめた責任者がいる。確かめる観点が決まっている。誤りがあったときに直す道がある。この三つがそろって、はじめて著者表示に意味が出る。
出す四つ
編集部が記事に付けているのは四つに絞っている。AIをどこに使ったか。下書きか、構成案か、見出しか、翻訳か。誰が公開前に本文を読み、事実と表現を確定したか。読者が自分で開ける参考リンク。そして、誤りを見つけた読者が連絡できる窓口と、訂正履歴の残し方。
どの記事も同じ形で付ける。記事ごとに書き方を変えると、読者は見比べられない。型を決めて、出すたびに埋める。地味だが、確認の抜けを防ぐにはこれが一番効く。
出す前に見るもの
AIの下書きをそのままは出さない。編集部が見るのは、事実、数字、固有名詞、引用、画像の権利だ。数字は、対象、期間、単位が本文と出典で一致しているか。固有名詞は、表記と肩書きを一次資料に合わせる。引用は、原文の意味を変えていないか。
言い回しも見る。AIの文章には、言い切りたがる癖がある。「必ず」「絶対」「誰でも」が根拠なしに出ていないか。反対の材料があるのに片側しか書いていないか。読者が自分で判断する余白を残しているか。
広告との関係
Googleのパブリッシャー向けポリシーは、手動によるレビューやキュレーションなしで自動生成されたコンテンツへの広告掲載を制限している。問われているのはAIを使ったことではなく、人の確認と選定があるかどうかだ。
開示は免責の文言ではない。読者が信頼を測るための材料であり、編集部が自分の工程を説明する約束だ。広告を出すサイトほど、ここを雑にしないほうがいい。
小さく始める
最初から完全な工程を作る必要はない。記事の末尾に、AIの使いどころ、確認した人、出典、訂正の窓口を一つのブロックで置く。出す前に見た項目を控える。訂正が入ったら日付と中身を残す。この三つを続けるだけで、記事の信頼性は説明できるものになる。
読者は、AIが書いたからというだけで記事を捨てはしない。確認の手順が見えれば判断できる。見えないから疑う。開示とは、その手順を読者の側へ開くことだ。